こんにちはたくまろです。今回は数理統計学入門に特化した本を、数学専攻で統計学を専門していた身として紹介したいと思います。
今回は記事は、主に大学2,3年生以上の理系学生を対象としたレベルです。
もしも、もっと簡単な統計学の本が知りたい方は、こちらで紹介しています。
これをみれば、数理統計学に対する理解が深まるでしょう。
数学専攻の人や、理論的に統計を学びたいなら、是非ご覧ください!
数理統計学って何をやるのか?
数理統計学とは
数理統計学というのは、数学の一分野で、確率論を応用させた学問と言えます。
統計学をより定量的に扱うためには、必要不可欠な分野といえるでしょう。
記述統計と推測統計
データ分析は、記述統計と推測統計という2つに分かれています
記述統計:データを説明する統計の一分野。
つまり、データとその典型的な特徴をピックアップ。
推測統計:データから結論(モデル)を導く統計の一分野。
モデルの選択や特定のモデルの条件を満たすかどうかの確認、定量化が含まれる。
記述統計は、データから平均や分散といった特徴を観測する目的です。
中学数学でやるデータの整理は、記述統計の中で議論されています。
一方で、推測統計は、データからモデルを推測することが目的です。そのため、平均や分散のように客観的に見て分かるものではなく、推測の仕方によってさまざまなモデルを考えることが出来ます。つまり、不確実性が含まれています。
例えば、
例えば、ある政策に対して、男女500人に世論調査をしたとします。
支持した人が男性300人で女性250人だった場合、男性の支持率は60%で女性の支持率は50%で、男性の方が支持率が高いことが分かります。
ここまでが、記述統計で分かる客観的な情報です。
さらに、「男性と女性の支持率に違いがあるのか?」ということが知りたいとします。
データからは、男性が支持率が高いことが分かっているのですが、たまたま男性の支持者が多かっただけかもしれません。
集団全体で見たとき、男女でどれぐらいの差があるのか?定量的に求めるためには推測統計が必要になります。
今回のケースでは、集団全体の情報を与えられたデータから定量的に推定しすることを、推測統計によって求めることが出来ます。
定量的に扱う統計学
数理統計学は、数学を使い定量的な推測の方法論を扱っています。
その為に線形代数や微積分、測度論、微分方程式などを数理統計学では使うことがあります。
「あんまり、大学数学を理解していない…」
と思う人もいるかもしれないです。僕も線形代数とか分かっていませんでした。
しかし、数理統計学で必要な前提知識はごく一部です。その都度勉強しても大丈夫です!
今回は、必要になる前提知識もちゃんとカバーされている良書をいくつか紹介したいと思います!
最初の一冊目におすすめの本
入門数理統計学
【送料無料】 入門数理統計学 / パウル・ゲルハルト・ホーエル 【本】 価格:5,280円 |
数学的理論的理解とイメージ・概念的理解の両方に優れた名著といわれています。
元祖、入門数理統計学と呼ばれいるぐらい昔からある本で、この本を参考に作られた本も沢山あります。
基本的な数理統計学のエッセンスが学べて、理論的と直感的な説明のバランスが良い内容です。
私も大学院の入学試験でよく使った本です。
まず数理統計学を学ぶなら、是非最初に読んで欲しい一冊です。
統計学入門(東京大学出版会)
価格:3,080円 |
この本は学部の2年生ぐらいで初めて、初めて(数理)統計学を学びたい方におすすめの1冊です。
どうしても、ちゃんと数学的に定義しようとすると、線形代数や微積分の知識が必要にはなります。
しかし、この本では、必要に応じて数学的な補足を挟んでくるため、サクサク読み進めることが出来ます。
この本も、是非最初に読んで欲しい一冊です。
入門統計解析
価格:2,750円 |
数学的な補足や導入がとても丁寧な本です。
例題と演習も豊富で、数学的な操作に対応できる力がつきやすいです。
数学的な厳密性よりも、演習などで慣れながら理解したい人におすすめの1冊です。
ゼロから学ぶ統計解析
【送料無料】 ゼロから学ぶ統計解析 / 小寺平治 【全集・双書】 価格:2,750円 |
この本は、ほんとにゼロベースの知識でもわかるような数理統計学を展開しています。
小寺先生の本は、分かりやすさ重視の本が多く、これもその1冊です。
内容的にも易しく、短期間でも読めてしまえるような構成になっています。
他の本であまり理解できなかった人におすすめしたい一冊です。
2冊目や知識をもっと増やしたい方におすすめ
新装改訂版 現代数理統計学
価格:2,970円 |
これまでの本と違い、読み進めていくタイプの入門書。
よく見かけるような、「定義→定理→証明→命題など」といった数学書の書き方ではなく、
文章が多めで、読み物として理解を深めることができる本です。
そのため行間が空いており、式変形に慣れていないと読破が厳しいかもしれません。
しかしながら、「どうしてこのような考えが生まれたの?」といった知識の補強に役立ちます。
数学書のような構成が苦手な方に読んでもらいたい一冊です。
統計解析入門
OD>統計解析入門 (新数学入門シリーズ) [ 赤平昌文 ] 価格:3,520円 |
自分が学部生の時に読んでいた本です。
はっきり言って、はじめて数理統計学を学ぶ人向きではないと思います。
しかし、補足や関連事項の説明が豊富で、知識の完備には必要な存在です。
あまり耳にしない、UMVUEや十分統計学って何だっけ?と思ったときに読んでいます。
より、ニッチな専門用語を学びたいならおすすめの一冊です。
入門統計解析法
価格:3,190円 |
この本は、ある程度数学的な知識を求められる場面があるのですが、証明が非常に丁寧に書かれています。厳密性に富んでおり、数学科の人なら読みたくなる一冊です。
イメージではなく、理論的な正しさを求めることがこの本のモチベーションですね。
また、品質管理に関する資格「QC検定」の勉強で使う方も多いようです。
記号などの使い方が似ているので、使う人が多いそうです。
数学的な証明や緻密な議論が好きな方におすすめしたい一冊です。
現代数理統計学の基礎
現代数理統計学の基礎 (共立講座 数学の魅力 11) [ 久保川 達也 ] 価格:3,520円 |
統計学だけやっていると、すっ飛ばしてしまう測度論について言及した本です。
データに時間の概念が加わると、データの独立性が失われてしまいます。
その為、確率過程のようなものを学ぶ必要があります。
実際に確率過程の本を読むと、かなり難しいのですが、この本だと要点を抑えた解説がされています。
測度論を用いた厳密性を求める数理統計学や、時系列データも学びたいならこの本がおすすめです。
洋書ならこれがおすすめ
数理統計学の本なら、日本語でも十分な内容の物がたくさんあります。
しかし、洋書ならではの良さもあります。
特に、証明のアイデアやエッセンスは洋書の方が伝わりやすいです。
なぜなら、論文を書いている本人が本を執筆することが多いからです。
また日本語だと、伝わりにくかったり割愛されることもあるため、英語の勉強だと思って読むのもありですね。
今回は、私がおすすめする出版社『Springer』の本を2つ紹介したいと思います。
Mathematical Statistics
Mathematical Statistics (Springer Texts in Statistics) 新品価格 |
洋書の中でも、個人的にコスパが良い本です。
統計的な概念の誕生や、関連分野の参考文献の解説などもされており、洋書ならではの良さがとても現れています。
参考文献が沢山あると、そこから新たな研究につながったり、証明の方法を学べたりできる機会が増えるでしょう。
Introduction to Mathematical Statistics
Introduction to Mathematical Statistics (Grundlehren der mathematischen Wissenschaften, 202) 新品価格 |
非常に読みやすいので、英語の勉強で使ったり、ゼミなどで輪講する使い方がおすすめです。
古い本なので、よくある数理統計学の構成ではなく、数学からどのように派生したか?ということにも触れており、面白い見方ができます。
数学の証明も豊富なので、方法論の研究で困った時に、インスピレーションをもらえたりします。
まとめ
今回は、数理統計学の本について個人的おすすめ10冊を紹介しました。
他にも、統計学や数学の入門書を紹介してします。
良かったこちらもご覧ください。
【初心者におすすめ】はじめての統計学におすすめの本【統計学入門書】
【数学専攻がおすすめ】数理統計学おすすめの本10選【数理統計学入門】
【初心者におすすめ】統計学のための数学おすすめの本5選【統計学入門書】
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