【数理統計学入門】片側検定と両側検定の違い【機械学習・データサイエンス】

こんにちはたくまろです。ここでは、片側検定と両側検定の違いを説明します。簡単に言うと、両側検定は等しいかどうかを調べる検定です。片側検定は大小関係を調べる検定です。

片側検定と両側検定の違いを扱う例題

大学生のスマホの使用時間を調査したところ、1週間に平均18時間で分散42.25時間\(^2\)であることが分かっている。今年、大学生になったばかりの学生10人を無作為に選んだ時、10人のスマホの使用時間の平均は23.1時間でした。
(1)この10人はこれまでの使用時間と異なるか?有意水準1%で検定せよ。
(2)この10人はこれまでの使用時間より長いか?有意水準1%で検定せよ。

(1)は両側検定に対応しています。なので棄却域が両側に存在します。
(2)は片側検定に対応しています。なので棄却域は正の方にしか存在しません。

それでは実際に計算してみましょう。

解答

平均と分散を\(\mu=18,\ \sigma^2=42.25\)でおく。今、標本平均\(\bar{X}=23.1\)とする。データが正規分布に従っているとして、基準化すると、\(Z=\sqrt{n}(\bar{X}-\mu)/\sigma=\sqrt{10}(23.1-18)/6.5=2.48\)
となる。

(1)両側検定を行うと、上側0.5%点\(z_{0.995}\approx2.58\)と下側0.5%点\(z_{0.005}\approx-2.58\)なので、\(z_{0.005}<Z<z_{0.995}\)になるため棄却されない。

(2)片側検定を行うと、大きい場合のみ考えるので上側1%点\(z_{0.99} \approx 2.33\)なので\(z_{0.99}<Z\)が成立するため、棄却される。

 

片側検定と両側検定の違いを扱った問題

まず片側検定は大小関係が成立するか調べる方法です。例えば、新しいマシンによって精度が向上したか調べる際に、不良品の割合が少なくなっているか?というのを調べる際に片側検定を施します。また、同じ英語の単語テストを1回目の2時間後に2回目のテストを行った結果、点数が上昇しているか調べる際にも片側検定を使います。考えたい問題に大小関係を表す表現があればこれは片側検定をする必要があります。

対して、両側検定の場合は違いを調べる方法です。例えば、同じテストを受けてクラスAとクラスBの平均点を比べた時に違いがあるか?調べる際に両側検定を使います。また世論調査をした結果、男性と女性で世論の偏りはあるのか?調べる場合にも両側検定を使います。大小関係が分からない状況下で違いを見たい問題に対して使うことが多いです。

ちなみに、片側検定は両側検定の特別な場合です。両側検定で棄却される場合、上側と下側どちらかの棄却域に含まれます。仮に上側の領域で棄却されたとします。このとき、同じ有意水準のもと上側で片側検定を行えばで棄却されます。しかしながら、上側の片側検定で棄却されても両側検定だと棄却されない場合があります。これが先ほどの例題のような状況です。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です