【数学科おすすめの本】多様体入門おすすめの本を紹介【数学名著】

こんにちはたくまろです。

今回はおすすめする本は、名著と呼ばれている松島 与三 (著)の『多様体入門』です。
研究で多様体について勉強しなければならない時に、この本に出会いました。

実は多様体の入門書として、我が国ではじめて出された本格的な本です。
完成度の高さから、英語版も出版されています。

この本を参考にして、理工学系の学生向けの入門書が数多く出版されました

原点にして頂点とも言える、最高の本だと思います。
数学科で多様体について深く学ぶたい人におすすめです。

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『多様体入門』の概要

多様体について

n次元多様体とは、任意の点がn個の座標で表されて、その近傍がn次元ユークリッド空間の開集合と同じ位相を持つような集合を指します。ざっくりいうと、部分的にユークリッド空間と似たような構造を持っているものだと言えるでしょう。

例えば、球面上の点の集合は2次元多様体になります。

この多様体の考えは、リーマンによって始まり、現在も研究が進んでいる分野です。

部分的にユークリッド空間と見なすことができるという性質が数学的に扱いやすく、さまざな性質を導くことができます。
そのため、調べたい空間が多様体であることが分かれば、非常に解析がしやすくなります。

本書の構成

Ⅰ序論
Ⅱ可微分多様体
Ⅲ微分形式とテンソル場
Ⅳリイ群と等質空間
Ⅴ微分形式の積分とその応用

実は松島先生の前にも、秋月先生と岩堀先生の共著で多様体の入門書が執筆されていたのですが、難易度が高くあまり浸透しませんでした。ある程度、序論の部分で補足はされるのですが位相空間や線形代数の知識があった方が良いです。

基礎的な部分が満遍なく紹介されていて、微分幾何学を専攻する上での必須事項がまとめられています。

『多様体入門』おすすめポイント

Point1:多様体の導入が自然

多様体の定義について、シュバレーの流儀とホイットニーの流儀の2種類がある。

ホイットニーの定義では、ユークリッド空間が曲がったものから始まり、徐々に多様体というものが形成されていく流れがあります。

多分、多くの人が多様体の定義だけが突然登場しても、よく分からないと思います。
『多様体入門』では天下り的に多様体の導入がされているため、自然であり呑み込みやすい内容となっています。

Point2:都度補足が入る

秋月先生と岩堀先生が執筆した本は、線形代数や微積分に関する補足が少なかったのですが、『多様体入門』では都度説明が入っているため、すらすら読み進めることができます。

そのため、学部の3年生ぐらいであれば、挫折することなく読み進めることができると思います。
そもそも、多様体自体が様々な分野の知識が必要になるため補足説明がないと苦痛です。

Point3:先に進むと新しい見方ができる

定義、定理、証明のオンパレードなので、ちゃんと読んでも理解できない部分が出てくると思います。
モース理論が数式で書くとよく分からなくなったり、ベクトル場の登場で頭がついていかなくなったりします。

そんな時は、そういう物だと思って読み進めてみてください
すると、例題や低次元での説明が出てくると思うので、そっちを先に読んでから一般論や証明に戻ると良いかもしれません。

100%理解するのは難しいですが、それでも読者を置いていかないで、フォローがどこかしらでされています。
最初の方は難しいと感じるかもしれませんが、頑張ってリー群まで到達することができれば新しい見方ができると思います。

 

まとめ

今回は、おすすめの一冊ということで松島 与三 (著)の『多様体入門』を紹介しました。
Takumaro’s blogでは他にも初学者向けの分かりやすい本を紹介しています。
良かった、ご覧ください!!

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