こんにちはたくまろです。
今回はおすすめする本は、名著と呼ばれている彌永昌吉 (著), 赤攝也 (著)の『公理と証明』です。
この本は、数理論理学の一分野である証明論の入門にピッタリの本になっています。
証明論と聞いて
「何をやるんだろう…?」「難しい記号がいっぱい出てきそう…」
と思う人も多いと思います。
今回紹介する本は、数学的な難しさが少なく、数学書ではなく新書なので、スラスラ読めること間違いなし!
証明論だけでなく、数理論理学に興味を持っている人にもオススメです!
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『公理と証明』の概要
証明論について
証明論と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?
名前を聞くと、数学の証明の方法をいろいろ考える学問と思うかも知れません。
証明論は
- 推論が正しいか正しくないかの基準とは何か?
- 考えたい命題が証明可能であるか?
- 命題の真偽が機械的に判断可能であるか?
を目的の一つとして生ました。もしかしたら、想像と違うという人もいるかも知れません。
より、メタ的に証明の推論を考えるのがこの学問の醍醐味になります。
これまでの数学とは、異なる難しさがありますね。良くも悪くも(笑)
証明論を含む数理論理学の研究によって、
「(ある公理系で)真偽を証明することが出来ない命題が存在する」
というゲーテルの不完全性定理というものが分かっています。
例えば、「この命題は間違っている」という命題の真偽を証明することは出来ないです。
もしも真である場合、命題に書かれていることに矛盾します。
また、偽である場合、この命題は正しいことになるので仮定に矛盾します。
このように、基礎的な論理をより形式的な形で扱えるようにしたものが証明論と言えますね!
本書の構成
第1章 公理
数学的に証明なしに正しいとする命題を公理と呼びます。
いくつかの公理の紹介と、公理系について解説しています。
第2章 数学の基礎
論理主義・形式主義・直観主義の違いについて学びます。
第3章 証明論
無矛盾性の証明を形式体系で行います。
形式体系で証明をするとすぐにページが埋まってしまいます。(やれば分かる)
『公理と証明』おすすめポイント
Point1:大学数学の知識を必要としない
高度な数学書だと線形代数や微積分の知識を仮定して議論が進められることが多いです。
しかし、一部のセクションを除いて難しい大学の数学を使うことがないです。
これが数理論理学のとても学びやすいポイントの一つ!
そのため、文系の人でも記号の使い方さえ覚えれば、すらすら読めるはずです!
気楽に読める内容となっています。
Point2:公理について詳しく学べる
公理は最初、定理でも定義でもないよく分からないものだと思っていました。
公理とは「証明されない原理」とこの本では述べています。
さらにこの本で、さまざまな公理を紹介して、公理ある世界と特定の公理がない世界を比べたりしています。
公理は数学的な証明をする上で根底になる考え方です。
この本を読めば、直感的はぶった斬るような、新しい感覚を得られると思います。
公理のイメージが湧かない人にオススメです!
Point3:バックグラウンドも詳しく解説
一般的な数理論理学の本との一番の違いは、証明論の誕生や発展の歴史的な背景にも焦点を当てている点です。
いきなり、記号や形式的な証明の仕方から入るのではなく、どうして形式的な証明が誕生したのか?やどのような影響を与えたのか?についても言及しています。
まさに、著者の知識量が伺えますね。
数理論理学や証明論の発展の歴史に興味がある方にオススメですね。
まとめ
今回は、おすすめの一冊ということで彌永昌吉 (著), 赤攝也 (著)の『公理と証明』を紹介しました。
Takumaro’s blogでは他にも初学者向けの分かりやすい本を紹介しています。
良かった、ご覧ください!!
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