こんにちはたくまろです。
今回紹介するおすすめの本は、髙橋 倫也 (著), 志村 隆彰 (著)の『極値統計学』です。
極値統計は日本での研究が珍しい分野で、日本語で書かれた本がとても少ないです。
「極値統計学とは何か?」
「どうゆうデータを扱うの?」
そのような疑問に答えつつ、様々な統計的手法を紹介しています。
![]() |
新品価格 |
『極値統計学』の概要
極値統計学について
統計学の分野の一つに極値統計学と呼ばれる分野があります。
極値統計学では最大値や最小値を推定することを目的にした分析を行います。
例えば、人間の寿命や、津波などの最大の高さ、最高・最低気温などをこれまでのデータを用いて推定したりします。
特に、日本は災害が多い国です。津波の最大の高さを推定することができれば、防波堤などの建設で役に立ちますね。
しかしながら、大学などで提供されている標準的な統計学・データサイエンスのコースにおいて極値統計学がほとんど扱われないことに加え,現在,極値統計学を専門とする統計学者が日本に少ないです。
世界的に見ると、極値統計学はポピュラーな分野ではあるのですが、なかなか浸透しないようです。
『極値統計学』は日本語で書かれた、貴重な一冊になっています。
本書の構成
- 極値統計学へのいざない
- 極値理論
- 極値モデルと推測
- 非定常極値モデルと推測
- 極値データ解析
- トピックス:正則変動関数,極値指数の推定,ベイズ法
日本語の極値統計学の本としては最も初学者向けの本で,大学の学部で習うレベルの統計学の知識があれば読み進められる思います。
第1,2章では極値統計で扱う言葉について紹介。第3,4章でモデルをいくつか紹介し、それぞれのモデルの推定論を紹介。第5章では、自然災害のデータを用いたデータ解析について紹介しています。第6章で紹介されているベイズ法は、事前分布を導入した、時系列データへの解析を行なっています。汎用性が高い手法で、他の文献ではなかなか見られないので、ぜひ見て欲しい部分です。
『極値統計学』おすすめポイント
Point1:導入が丁寧
この分野に触れたことがない人向けに書かれているだけあって、とても導入が丁寧です。
2.1~2.4までは極値分布とパレート分布について扱っています。
その部分が特に重要であり、この本の中でも丁寧に説明されている部分です。
逆に、極値分布とパレート分布がわかれば、極値統計学の代表的な2つの分布を押さえたと言えます。
また、あまり馴染みのない分布だからこそ、数式の変形なども一行一行丁寧に行われています。
Point2:数学書のような形式
この部分は個人差があるかもしれませんが、数学書のような形式で書かれており、専門書としてはかなり読みやすいと感じました。
定義から始まり、性質や命題を紹介して、定理などを証明するといった、ルーティン的な流れで話が進められています。
統計や機械学習関連だと、初学者向けに文章が多く説明が長いものが多いのです。
しかし、この本は数式によって説明されており、コンパクトにまとまっています。
統計学に関するある程度の知識を持っているのであれば、数式で纏められている方が読みやすく感じるはず!
Point3:Rのソースコードや正誤表をダンロードできる
この本の章末問題やデータ分析ではismevと言われるRのパッケージを使って、コーディングを紹介しています。
近代科学社の紹介ページではこの本で使われているソースコードや、正誤表を簡単にダウンロードすることができます。
ぜひ、使ってみてください!
さらに、発展的な本
少し高いですが、さらに発展的な内容を学びたいなら『極値現象の統計分析』がおすすめ!
原著は極値統計学の研究で有名な Resnick 先生(コーネル大学OR学科教授)による講義をベースにして作られています。
上記の本ではあまり紹介できなかった、点過程の理論に焦点を置き、自然災害・金融・保険・通信などのデータ分析について解説されています。
![]() |
新品価格 |
まとめ
今回は、おすすめの一冊ということで髙橋 倫也 (著), 志村 隆彰 (著)の『極値統計学』を紹介しました。
Takumaro’s blogでは他にも初学者向けの分かりやすい本を紹介しています。
良かった、ご覧ください!!
【初心者におすすめ】統計学のための数学おすすめの本5選【統計学入門書】
【初心者におすすめ】はじめての統計学におすすめの本【統計学入門書】