こんにちは、たくまろです。
みなさんは、中学生の時にマイナス×マイナスがプラスになる理由をどんな風に説明されましたか?
僕は「悪い奴に悪いことをするとスカッとするからプラスになる」みたいな説明をされました。
今回はマイナス×マイナスがなぜプラスになるのか、大学数学を学んだ身として、理論的な証明を紹介します。
内容的には大学数学の環論に関係する難しい部分を分かりやすく説明しています。
噛み砕いで中学数学の範囲で収まるようにしているので、やや厳密性に乏しいです。
文系で数学が苦手な人でもわかるよう工夫しているので、是非読んでみてください!
マイナス×マイナスがプラスになる証明
\(a, b\)を正の整数とします。この時$$(-a)×(-b)=ab$$が分かればマイナス×マイナスがプラスになることを示します。
まず準備として2つのことを示します。
定理1
$$-(-a)=a$$
証明
\(a+(-a)=-a+a=0\)が任意の整数aで成立します。また、\(a\)に\(-a\)を代入すると\(-a+(-(-a))=-(-a)+(-a)=0\)がわかります。
これより$$-a+a=-a+(-(-a))$$となり、左から\(a\)を両辺に足せば、$$a-a+a=a-a+(-(-a))$$ $$0+a=0+(-(-a))$$ $$a=-(-a)$$
定理2
$$(-a)×b=a×(-b)=-ab$$
証明
分配法則より\((-a)×b+ab=\{(-a)+a\}b=0×b=0\)なので、両辺の右から-abを足せば、$$(-a)×b+ab-ab=0-ab$$$$(-a)×b=-ab$$
同様に\(a×(-b)+ab=a\{(-b)+b\}=a×0=0\)なので、両辺の右から-abを足せば、$$a×(-b)=-ab$$
では、本題の証明を考えたいと思います。まず、定理2から
$$(-a)×(-b)=-\{a×(-b)\}=-(-ab)$$
が分かり、定理1から\(-(-ab)=ab\)となり、$$(-a)×(-b)=ab>0$$
無事、マイナス×マイナスがプラスになることがわかりましたね。
環論との関係性
一般に、環(Ring)という数学的な集合の中であれば、マイナス×マイナスがプラスになることが証明されています。
環とは、加法と乗法の二つの演算が定義された集合で、いくつかの性質を満たすものです。
整数全体の集合が代表的な環の例ですね。
環論について詳しく知りたい方の為に、安めの参考書を紹介しときます。
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まとめ
意外と知られていない、マイナス×マイナスがプラスになる証明を紹介しました。
当ブログでは、おもしろい数学・統計学の知識や書籍紹介などを活発に行っています。
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